Business Description

事業説明

経営環境

①市場環境について

お相手との出会い方は大きく分けて、伝統的なお見合い、日常生活の中での出会い、知人の紹介、及び、SNSやマッチングアプリといったオンライン上の出会いに分類されます。
日本では職場や学校などの日常生活の中での出会いが主流となっておりますが、近年はオンライン上の出会いの割合が増加しております。

オンライン上の出会いが低かった要因の一つとしては、健全性が低かった初期の出会い系サイトと現在のオンラインマッチングサービスが混同されており、オンラインマッチングサービスに対するネガティブなイメージがぬぐい切れていなかったことが考えられます。しかし、2008年の「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」の改正以後、オンラインマッチングサービスの安全性と健全性が向上 しております。また、2015年には、業界団体であるMSPJ(一般社団法人 結婚・婚活応援プロジェクト。現在は一般社団法人恋愛・結婚マッチングアプリ協会と改称)が設立され、加盟各社による同サービスの安全性と健全性向上が図られています。これらにより、若年層を中心にオンラインマッチングサービスに対するネガティブなイメージは低減していると考えられます。
また、別の下記調査によれば、1年以内に結婚した夫婦の出会いのきっかけは、「マッチングアプリ」が2年連続トップであり、「学校の同級生・先輩・後輩」、「職場の同僚・先輩・後輩」や「友人・知人の紹介」を上回る結果となっており、コロナ禍で急速に普及した「マッチングアプリ」が、新たな出会いの定番になっていると分析されております。

このようなオンラインマッチングサービスのイメージ改善に伴って近年オンライン上の出会いの割合が急速に増加しておりますが、過去12ヶ月に少なくとも1回はオンラインデーティングを使用したことがある人に限ると、国内におけるオンラインマッチングサービスの普及率は諸外国に比べるとまだ低い水準にあります。

また、当社の委託に基づくマクロミルの調査によりますと、オンラインマッチングサービスの利用意向は、周囲の利用状況に大きく影響されることが判明しており、同サービスの市場への浸透が進むことで、利用未経験ながら利用意向が高い又は中程度の層についても、利用が促進されていくものと考えております。

加えて、20~30歳代の独身男女8,239人のうちマッチングアプリ認知している6,890人を対象とした当社調査(調査委託先 マクロミル:2025年1月実施)によりますと、当該対象者について過去を振り返ってその意識の変化を調査したところ利用への興味が増えてきたと回答していることから、オンラインマッチングサービスの需要は今後も拡大することが期待されます。このような状況から、国内オンラインマッチングサービス市場は引き続き成長すると思われ、今後は諸外国と同水準まで普及率が向上し、オンラインマッチングサービス市場は拡大すると考えられます。

また、健全性が低かった初期の出会い系サイトと現在のオンラインマッチングサービスが混同されていたこともあり、オンラインマッチングサービスに関して公共性の高いテレビCMや一部の媒体に対する出稿が困難でしたが、健全性が認知されてきたことに伴い、これらの媒体に対する出稿の解禁が進んでおります。
これらの結果、オンラインマッチングサービスの市場は、今後も安定的に成長していくものと考えられます。

また、当社が2023年5月にマッチングアプリを認知している20~39歳独身男女7,352人を対象に実施した調査によりますと、恋愛に興味があり、かつオンラインマッチングサービスの利用経験がある層は男女ともに30%強にとどまる一方で、恋愛に興味がありながら同サービスを利用していない層はともに40%強、そのなかでも利用意向が高い又は中程度の層は課金の中心となる男性で20%強と推定されます。このことから、潜在ユーザーのすそ野は依然として広いと考えられます。これらを考慮した、オンラインマッチングサービスの利用意向がある層も含めた場合のSAM(Serviceable Addressable Market)や、20代~30代の独身で恋愛意向がある層も含めたTAM(Total Addressable Market)は、十分な残余があるものと考えております。

②競争環境について

恋活・婚活を目的とした各種マッチングサービス市場は大きく分けて、オンライン上で気軽な出会いを探すためのカジュアルマッチングサービス、オンライン上で真剣にお付き合いできるパートナーを探すためのシリアスマッチングサービス、結婚相談所等の物理拠点を通じて結婚相手を探すための結婚相談サービスに分類されると考えておりますが、当社グループはこのうちシリアスマッチングサービスとして「with」と「Omiai」を提供しております。

グローバルな事例の1つとして、世界最大のマッチングアプリ運営者である米国MatchGroupにおいて、同社のIR資料によるとシリアスマッチングサービスであ「Hinge」の成長率が、カジュアルなサービスである「Tinder」の成長を上回るなど、シリアスマッチングアプリのニーズが高まっていると考えられます。日本においても、交際相手との関係性としては下図のとおり「結婚したい相手」、「結婚を見据えて交際ができる恋人」および「結婚するかはわからないが、真面目にお付き合いができる恋人」は全体の過半以上を占め、当社グループが提供するシリアスマッチングサービス「with」と「Omiai」の特徴に合致していると考えております。

オンラインマッチングサービス市場は、特定の資格や許認可によって保護される業種ではなく、サービス開発自体には装置産業のような巨額のコストがかかるものではないことから、複数の事業者による競争が行われております。したがって、一定規模の市場シェアを獲得するには差別化による競争力強化が必要であり、当社グループとしては、オンラインマッチングサービス市場におけるポジショニング明確化によりターゲットユーザーに最適な機能提供を行うとともに、Omiai事業をグループ内に取り込むことでオンラインシリアスマッチングサービス市場のシェアを大幅に伸ばしてまいりました。

また、当社が実施した調査によりますと、オンラインマッチングサービスに興味を持っているマッチングアプリ未利用者の多くは、オンラインマッチングサービスは信頼性に欠けると感じていることが分かっております。そのため、潜在ユーザーに健全性を認識していただき信頼感を持っていただくことが企業価値向上の大きな要素になると考えられます。このような認識のもと当社グループでは、健全性確保の取り組みとして、IMSが付与するインターネット型結婚相手紹介サービス業認証制度の認証を取得しており、すでに一定の運営実績も重ねております。当該制度は、「婚活サイト」「婚活アプリ」などのオンラインマッチングサービスを消費者が安心して利用できるよう、第三者機関であるIMSがサービスの質や信頼性について客観的に評価し、認証を付与する制度であり、IMSの定めた認証基準に基づく審査の結果、適切な情報提供の実施、明解な契約締結の実施、サービスの健全性を確保するための体制整備、個人情報保護をはじめとした法令遵守など、適切なサービス提供が行われていると認められた事業者が認証を受けることができるものです。また、業界団体であるMSPJ(一般社団法人 結婚・婚活応援プロジェクト。現在は一般社団法人恋愛・結婚マッチングアプリ協会と改称)に加盟し、「MSPJ インターネット婚活サービス分科会」において策定された自主規制ガイドラインである「7つの約束」を順守しております。このような健全性を確保するための体制整備と実績の蓄積は短期間では困難であり、この点において新規事業者よりも当社グループに優位性があると考えております。

なお、一般にオンラインマッチングサービスは、ユーザー数の増加によってマッチングの機会が向上するなどサービスの利便性が向上するネットワーク効果が強く働くことが分かっており、これに伴ってサービスの質への認知度も急速に向上することが期待されます。そのため、一定以上のシェアを閾値として獲得することでユーザー獲得コストも低減し、最終的には少数の事業者による寡占化が進むと想定しておりますが、当社グループのシェアはすでに市場上位に位置しており、この効果を十分に享受することができると考えております。

③マーケティング環境について

これまでは上述のように、健全性が低かった初期の出会い系サイトと現在のオンラインマッチングサービスが混同されていたことから、出会い系サイトに対する社会的懸念がある中、公共性の高いテレビCMや一部の媒体での露出が困難な状況が続いておりましたが、マッチングアプリ業界において健全性の高い運営体制を整備していくなかで、2023年9月より、一定の運営実績があり、かつIMSの認証を取得している事業者が運営するオンラインマッチングサービスに対してテレビCMが解禁されるなど、媒体に対する制限が緩和されてきております。他にも、公共交通機関やその他媒体での広告宣伝活動の解禁も進むことが考えられ、複合的なマーケティング施策を実施することによって、オンラインマッチングサービスの利用率向上に寄与することが期待されます。

各種マーケティング施策を通じて、当社グループのオンラインマッチングサービスの特徴や健全性、価値観を重視する理想的なパートナー候補が集まる場であることを理解していただくことで、企業価値の向上が見込めると考えております。

経営戦略等

①マルチブランド展開

当社グループでは、オンラインマッチングサービス市場をカジュアルとシリアス、主要ユーザーの年代という2軸で分析し、オンラインシリアスマッチングサービス市場に対してマルチブランド戦略を採用しております。その中で、20代を中心ユーザーとする真剣な出会いを求める方には「with」を、20代後半から30代を中心ユーザーとする結婚を意識し始めた方には「Omiai」を提供しております。
現時点の国内オンラインシリアスマッチングサービス市場において、当社グループのほかにマルチブランド戦略を採用している有力な競合他社は少なく、それぞれのターゲットユーザーに最適なサービス提供を行うことで市場での差別化を図り、強力な競争力を獲得することを目指しております。

当社の調査によりますと、オンラインマッチングサービスのユーザーは利用目的にあった複数のサービスを同時利用する傾向にあるため、当社グループのサービスは他社サービスと並行利用されると考えております。そこで、オンラインシリアスマッチングサービス市場をさらに細分化したサブセグメントを特定し、サブセグメントに最適化させたUI/UXを提供することで差別化し、シェア拡大を図ることとしております。

この戦略のもと、20代を中心ユーザーとする真剣な出会いを求める方には「with」を、30代を中心ユーザーとする結婚を意識し始めた方には「Omiai」を提供しております。両者はユーザー層の年代と利用目的から、利用ユーザーの重なりが少なく、同時利用もあまりないと考えられることから、「with」と「Omiai」でカニバリゼーションが生じることはほとんどないと考えております。

なお、現時点の国内オンラインシリアスマッチングサービス市場において、当社グループのほかにマルチブランド戦略を採用している有力な競合他社は少ないと理解しております。この背景には、上述の閾値ともなるネットワーク効果により年々新規ブランド立ち上げの難易度が上がっていることがあると考えられます。一方で、ネットワーク効果が有力サービスによる寡占化を促進するとしても、ユーザーは複数のサービスを同時利用する傾向にあるため単一のサービスのみが圧倒的なシェアを獲得するということにもならないと考えております。

オンラインマッチングサービスのユーザーは利用目的にあった複数のサービスを同時利用する傾向にありますが、主利用しているサービスの性別・年代別シェアにおいて、「with」と「Omiai」は異なる傾向になっております。「with」においては、男女ともに20代において主利用とされているケースが30代におけるよりも高く、特に20代の女性においては主に利用するアプリであるという回答が他のサービスと比較して最も高く、若年層や女性層の支持が高いサービスとなっています。一方で、「Omiai」については、男女を問わず20代よりも30代において主利用のシェアがより高くなっております。このことからも、「with」と「Omiai」は異なるユーザー層に訴求できているものと考えます。

また、オンラインマッチングサービスにおける当社グループのシェアについては、「with」においては当社のマーケティング活動の活発化とあいまってサービスの特徴をユーザー層に訴求することによりシェアは拡大傾向にあり、「Omiai」についてはシェアが低下しておりましたが、当社グループに統合後、近年では下げ止まりつつあります。さらに、当社グループの事業はソフトウエアを利用して提供するものであることから、事業成長に伴って生じる人件費の増加は比較的大きくないと考えられ、この点でコストシナジーが発生するとも考えております。

②サービス内コンテンツや機能、新サービスの提供

ユーザーが持つ潜在的ニーズをくみ取ったコンテンツや機能、新サービスの提供を行ってまいります。この方針に従って、これまでにwithでは「心理テストPlus」「超性格分析プレミアム」「分析機能(足あとグラフ、あなたのサブ写真)」「結婚相談サービスとの連携」、Omiaiでは「必須入力項目の変更」「お相手に求めるデフォルト年齢値の最適化」などを行ってまいりました。今後も継続的に、当社グループのオンラインマッチングサービスが持つ特徴を活かしつつ、ターゲットユーザーの嗜好や行動特性を考慮したプロダクト改善と新サービスの提供を行ってまいります。

これらを通じ、「with」と「Omiai」の双方において、顧客満足度において「とても満足」「やや満足」は40%以上となっております。特に「with」においては、他のサービス比で高い顧客満足度を女性において得ていることが特徴的です。Omiaiについては、今後、複数の新機能を導入することで顧客満足度の向上を目指しております。

withの特徴

「with」はユーザーの価値観を用いた独自の性格診断で相性が良いお相手が探せるサービスとして2015年9月に提供を開始しました。性格や価値観といった内面にフォーカスした豊かな機能群、マッチングサービスに不慣れな方への手厚いサポートが特徴的で主に20代から利用されております。
「with」のコアバリューは「価値観マッチング」であり、心理分析(注2)を基にしたサービス提供を開発コンセプトに採用し、深くユーザーを理解したマッチングを提供することを特徴としております。「with」は、心理テストや診断、性格や価値観のデータを駆使する独自性の高いアルゴリズムを採用し、相性の良いお相手を見つけることを可能としております。また、コミュニケーションの手段だけでなく、顧客体験を高度化するための独自機能が実装されており、数多くの良縁を生み出すことに成功しております。

Omiaiの特徴

「Omiai」は2012年2月に提供を開始した10年以上の歴史を持つ国内を代表するマッチングサービスです。サービス名から想起できるように、お付き合いの先に結婚を意識し始めた方や20代後半から30代に利用されており、結婚を意識し始めたユーザーに対して、安心安全を訴求する機能を前面に打ち出しております。また、withと比較して、よりシンプルでユーザーが使いやすい操作性となっております。

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